えむ

おしゃべり会をはじめたきっかけは何でしょうか?

芳賀助産師

コロナ禍でした。当時の産院では両親学級ができなくなるなど、妊婦さんを取り巻く環境が変わり、妊婦さん同士で会話できる機会もなくなりました。私たちは、大学としてできることはないかと話し合い、令和4年7月に初めてオンライン(Zoom)による「子育ておしゃべり会」を開催しました。参加する妊婦さんからは「入院時には何を持っていったらいいか」など率直な疑問が寄せられました。オンラインの利点は、自宅で参加できて、夫婦で参加したり子どもが横にいても構わないところです。

えむ

はじめはオンラインだったんですね。

芳賀助産師

オンラインは手軽でいいのですが、体験はできません。コロナ5類に移行した翌年、すぐに対面を加えハイブリット形式にしました。令和6年からは対面のみにしています。その頃は定員を設けていませんでしたが、「人と話したい」「体験がしたい」という妊婦さんが増えたので定員を8組にして、丁寧な対応ができる体制を整えました。今年の7月でちょうど2年になります。予約が10組になる回も出てきて。次回の予約では、1組キャンセル待ちだったんです。直前でキャンセルが出たので入ってもらうことができました。

えむ

スタッフは何人くらいですか?

芳賀助産師

医学部保健学科の教員が5人と大学生や大学院生など合わせてだいたい12人くらいです。

教員は全員が助産師なので、産科医には聞きづらい質問や産後のことなど何でも聞いてください。学生は、助産師や看護師を目指す大学1年生から4年生、大学院生までボランティアで参加します。教育の一環として一緒に運営していて、会場準備から駐車場の誘導、託児など全体的にサポートします。参加者が連れてきたお子さんと遊んだり、トイレに付き添ったり。参加者からは「丁寧な対応がありがたい」「おしゃべりに集中できた」と喜んでもらっています。

えむ

妊娠何か月の妊婦さんが多いですか?

芳賀助産師

8.9.10カ月の参加者が多くて6割くらいです。初産婦さんは7割ほど。2人目、3人目だという人もいます。毎月参加する人もいますが、育児休暇に入ってからやっと来られたという人もいます。つわりが落ち着いた頃から、ご自身のタイミングで予約してもらえればいいと思います。

えむ

家族で参加する妊婦さんも多いですか?

芳賀助産師

パートナーに限らず、親や子どもなどご家族と参加する妊婦さんが9割です。

えむ

どこから参加する妊婦さんが多いですか?

芳賀助産師

松本市が最も多いですが、塩尻市、山形村、松川村、麻績村、長野市や上田市から来る人もいます。穂高病院では両親学級を再開できていないので、穂高から来る人や県外から里帰りで来ている人もいます。

えむ

運営で大事にしていることは?

芳賀助産師

「おしゃべり会」という名の通り、妊婦さんにはおしゃべりしていってほしい。産後にも繋がる友達が作れたらいいですね。

ネットで得られる情報もありますが、情報が手に入りやすい一方で、それが自分に当てはまるのか判断することは難しいです。ここでも、よく「これって本当ですか?」と質問されます。実際の体験で得られるリアルな情報や助産師と話す機会は対面でないと叶いません。

夫婦で正しい情報を選択できるような情報提供や、家族の絆が深まる話ができるよう心がけています。女性の体と心がどのように変化するのか、またその変化にどう向き合うのか。

出産のイメージがつかない人が多いですが、できるだけポジティブな印象で出産を迎えてほしい。産後の生活がどうかわるのか想像つかない人もいるので、具体的な話をするようにしています。

えむ

それは心強いですね。

芳賀助産師

法律が変わり、育休を取るパパが増えましたね。助かるママがいる半面、夫が家にいるストレスを感じるママもいます。共働きなら、どちらがどういう順番で休みを取るかなど、よく考えて話し合ってほしいです。

あと、頼れる助産師がいることを知ってもらいたい。各保健センターや信大病院の助産師、助産院など活用してもらい、産科医には聞きにくい質問も、気軽に相談してください。

多くの妊婦さんへ情報を届けるために、インスタをやっています。開催予定や申し込み方法、過去資料など見ることができます。

https://www.instagram.com/shinshu_university_mw/

(インスタ)

えむ

他に伝えたいことはありますか?

芳賀助産師

「おしゃべり会」だからといって、緊張しなくても大丈夫。堅苦しい会ではないので、夫を参加させたいとか、何か得られる情報あるかな、といった動機でも。大学主体なので、産む場所がどこかも関係ありません。また、何回参加しても構いません。参加者同士で情報を共有する場でもあるので、経産婦さんから体験談を聞いたり、育休経験のあるパパからミルク育児の話を聞いたこともあります。母乳が全てではないことなど、知らないと選べない選択肢を知ることで、家族の子育てに役立つ情報を持ち帰ってください。

松本には転勤で来ているご家族が多いので、孤独傾向の妊婦さんには特に、こういった場に出てくるだけでもいいと思います。

育児の準備は、購入品をそろえて満足してしまうところがあります。環境を整えておくことも大事ですが、実家に頼らない人は特に、夫婦での話し合いをしてほしい。生活がどう変わるのか具体的に考えて分担し合うことも必要です。

私は、信大病院の助産師外来を担当する助産師でもあります。「共通診療ノート」で検診日を確認しながら、病院に行く時期が途切れないよう、診察と診察の間に「子育ておしゃべり会」を活用してもらうのもいいですね。